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携帯サイトに未来はなかった

jpmobile便利だなあ、でもやっぱり携帯公式サイトに未来は無いわ、と思ったのでメモ。前にも同じことを思ったけど、あのときの思いつきは間違っていなかった。2年以上、携帯公式サイトというビジネスがゆるゆると崩壊する様を見ていて、そう思う。

もし、jpmobileみたいなものを自分で作るとしたら、どんな機能を盛り込んだか。もちろん、絵文字の処理やテンプレートの切り替え、アクセス制限、半角カタカナなどの文字列処理、UIDに関する処理やクッキー食べないdocomo端末を考えたセッションの処理なんてのは、携帯サイトを作ったことのあるある程度以上のプログラマなら当然思いつくだろう。このあたりが全て実装されたjpmobileの機能自体はとてもよく出来ていて、まったくもって不満はない。実際、案件で使ったこともある。

でも、もし本当に携帯公式サイトを楽に構築するためのパッケージを考えるなら、ここにキャリアと連携した月額課金と従量課金の機能を追加しないと完成とはいえない。

もちろん、それがないのはjpmobileの作者が悪いせいでもなんでもない。当然ながら、これくらいの機能を作るだけの能力がないわけがないだろう。そんなことは考えなくてもわかる。でも、もし作ったとしても、公開できないんじゃないかと思うのだ。まず、お金が絡んでくる機能なので、出来ました、はい公開、とやるのは、いくらライセンスなどがあっても、ちょっとリスクが高い。また、それ以上に、課金周りの仕組みを作ってもキャリアのNDAがある以上は、実装でさえもちょっと公開は躊躇われる。

もし、NDAによる制約がなく、エンジニア同士の交流で技術情報の交換が広まれば、jpmobileコミュニティみたいなのが立ち上がって、キャリアが立ち上げる新しいサービスに次々とリファレンス実装を公開していくことで、誰もが簡単に新サービスをサイトに追加していくことができるような世界になれば、携帯公式サイトの立ち上げにはほとんど障壁がなくなり、携帯界隈はアイデアをどんどん実現できる激しい競争の場になる、なんてことも夢想できる。

でも、実際には、公の場でそんなことはできない。携帯サイトというのは、一見するとBtoCのビジネスのようだが、実際にはキャリアに向けてサービスを売りつつ一般ユーザの世話をするようなもので、企業相手のビジネスなのだからエンジニアが所属する企業の枠を飛び越えて何かやる余地は少ない。そこで企業の方が肩代わりしてやろうとするわけだが、企業の倫理から各社が虎の子のように守っているわずかな技術的優位性を手放すわけがない。だから、出来上がるのはビジネス寄りの業界団体が関の山で、いくらコミットしても結局プログラムはキャリアの仕様書とにらめっこしながらゼロから実装するしかなく、だから参加者もこれといって代わり映えしないいつものメンツで、そこでは微笑ましい規模のカルテルみたいなものがほのめかされるだけだ。

携帯公式サイトのサービスというのは、こんなのがあったらいいな、というアイデアが実現される場ではない。なぜなら、そういう思いつきのほとんどが、NDAの壁に塞がれて技術交流が促進されないため、実現するにはコストがかかりすぎるため消えてしまうので、残るのはみんな本当はキャリアが考え出したアイデアで、そのほとんどがくだらない画像をメールに添えて喜ぶようなガキ向けのお遊びか版権ビジネスの延長であり、スマートフォンの登場に至って、遂に競争は救命ボートの場所取り争いの様相を呈している。

おそらく、最後の一手になるであろう、携帯公式サイトの終わりは、少額決済の問題だ。携帯公式サイトのビジネスが最も誇るべきはその課金システムであり、そこを上手に解放できなかったことが終わりの始まりだったわけだが、この一点さえ突破されてしまえば、ビジネスとしての存在意義は携帯公式サイトには存在しなくなる。Appleでは既に実装され、とうとうAndoridでも実施されるアプリ内課金がその一手になり、次は元締めの取り分が大きすぎると怒れる事業者がもっといいソリューションを提案してくるようになると、開発者としてはとても嬉しい限りだ。

というわけで、キャリアのみなさんがAndroidマーケットに小額課金システムを携えて殴り込んできてくれたらいいな、というのが結論でした。

Posted by on 2月 6, 2011 in Apple, mobile,

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