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フリーランスになって1年が過ぎて その3・よかったこと

Twitter経由でひどい話を読んだのですが、まだ20歳と若いのにそこまで絶望するとは驚きました。

ぼくが会社を辞めたのは20歳などとうに過ぎて30代も終盤に入ってから、子供も二人いて、家のローンもたんまり残っていました。退職金なんかありません。預金もないし、もちろん売り払うストックオプションもなく、ついでにいうと有給だって全然残っていませんでした(フレックス制もなく、遅刻は全部午前半休扱いなのでそれに使ったため毎年ほぼ100%消化、確か一週間もなかった)。5年間ずっと携帯向けサービスを作る仕事をしていましたが、構築したシステムはアクセス数こそそこそこあるけれど、新しめの技術など一切使わない、それどころか当時もまだPHP4しか動いていないような職場だったので、業務から得た知識だけでは他所では全く通用しない状態でした。今から考えるとぞっとしますが、勢いで辞めて生き残ったのも、周囲の暖かい支えと運もあったんだと思います。

ただ、本当にまったくの徒手空拳でフリーランスになったわけではありません。ぼくはぜんぜん出世しない人間だったので、会社の中でも比較的暇な、といって悪ければ会社の花形っぽい開発部門じゃない、例えば既存のシステムの保守なんかの仕事を割り当てられることがよくありました。企業向けのウェブアプリのユーザって、管理画面なんかはそれを利用する人は全部合わせても会社の担当者がたった数名だったりするじゃないですか。しかも、自社のウェブサイトだったりなんかすると、利用者はみんなそこら辺の席に座っている人です。そこで、そういう環境のメンテナンスになるたびに、あれやこれやと覚えたての技術を組み込んで、実際に使ってもらって試したりしていました。JavaScriptが苦手だったのでインクリメンタルサーチや各種エフェクトなどあれこれ作ってみたり、Prototype.js以前のAjaxなんか、今となっては貴重な経験ですよね。それから、また忙しい部署に配属されましたが、そこはRedmineもない環境だったので、自分でそこら辺のあまってるマシンに入れて動かしているうちにRailsを覚えたり、誰も見ていないところでは使い捨てのスクリプトはみんな好きな言語に切り替えて勉強したりもできました。そうそう、暇な頃には、風の噂では未だにPHP5に移植できていないらしい会社のCMSをPHP5に移植して自分のマシンでオンラインブックマークのシステムを動かしていましたが、マシンの持ち込みが禁止されてしばらく忘れていたらディスクが飛んで消えました。そのマシンではGoogleデスクトップのMac版がなかった頃にPDF、Excel、WordをFerretで全文検索して、ついでにPDFのガードを解除する仕組みも動いていました。ようするに、まだ試したことはないけど勉強だけは結構しっかりやっていたので、脳みそに貯金だけはかなりありました。でも、墓場までもっていける貯金などないのですから、どこかで使ってやろうと思い立ったのが仕事を辞めることだった、ということなのです。

ぼくは特別優れたプログラマではないし(だったらなんかすごいことやってるでしょ?)、経験もかなり偏っていると思います。TOEICで900点を目指せといわれたら頑張りますが、情報系の資格は面倒くさいです。だけど、プログラムを作って手を動かすのは好きだし、何か気になるものがあったら手を出してしまう性格なので、常に挑戦する対象には事欠きません。また、そこで身につけたことを仕事にして何かリリースしないと気が済まないので、フリーランスになってそんな特性を活かした仕事をすることが出来るようになったのが、一番の収穫でした。最近よく思うのですが、何か当たらしいことを始めたい、始めないといけない、と考えている会社はいっぱいありますが、でもいざ実際に何かしようとなると、全然うまくいかなかったり、そもそも始めることさえ出来ないなんてケースは、実はかなりたくさんあると思います。その原因はさまざまでしょうが、ひょっとしたら、社内にくすぶっている冴えない誰かにそんな妙な能力があったりするかもしれないし、それを見落としてずっと損をしていることも、あり得ないことじゃないんじゃないですかね。

もちろん、こんな状態があと何年続くかはわかりません。どこかで書いた気もしますが、まるでアイドルのように、いつか自分への需要がなくなってしまう、いやもうそろそろ底を尽きているんじゃないか、という恐怖は夜空の月のように常につきまとっています。でも、まあ、とりあえず今のところは、まあ、よかったんじゃないかな、と思います。

あ、肝心のお金だけど、辞めてからの方がずっと儲かってるよ!てへ!言っちゃった!じゃあね!バイバイ!

Posted by on 10月 13, 2011 in life, Work

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