T

2011年のオークランド・アスレティックス

この数年(2009はこちら2010はこちら)、何の希望もないままシーズン開幕を迎え続けているオークランド・アスレティックスだが、2011年はちょっと違っていた。まず、先日FAになった途端に女関係の悪行がバラされてざまあみろな岩隈の獲得を目指すついでに、もう先は見えたけど若いからまだ獲得に名乗りを上げるチームがあると見越して先発マッツァーロを放出、見返りにカンザス・シティから怪我で安くなっていたデヴィッド・デヘススを獲得した。それからジェイソン・ワースに大金を注ぎ込んだ愚かなワシントン(案の定ワースは今年ダメだった)から弾き出された長打力と選球眼に優れたジョシュ・ウィリンガムを安値で獲得したのはビリー・ビーンの真骨頂だった。岩隈の獲得には失敗したけれど、怪我のためテキサスで出場機会に恵まれなかったブランドン・マッカーシーを獲得してただでさえ分厚い先発投手陣はさらに厚みを増した。怪我で途中出場できない時期もあったが、終わってみればそのマッカーシーの投球内容がリーグでも屈指のものだったのはうれしい誤算だ。ついでに、選球眼に優れた長距離打者で選手寿命の黄昏時というオークランド好みの選手になった松井も安値で獲得、これで外野手とDHは揃った。選手たちが例年通りくらいの成績をあげれば、ひょっとしたらプレーオフも夢ではない、かもしれないくらいの期待をもたせてくれる陣容だ。内野は2010年にリーグ屈指の高い出塁率と一塁手としては例外的に長打力のないことでも注目されたデイリック・バートン、相変わらず守備の素晴らしいマーク・エリス、元ドラ1で多少荒っぽさもあるけど強肩の守備が魅力的なペニントン、長打力が期待されるクーズマノフという面子。これに不動のキャッチャーとなったカート鈴木、高出塁率が期待されるコナー・ジャクソン、未来のスターといわれ続けたままだが今年は膝の手術からの復帰を目指すライアン・スウィーニーを加えたメンバーは、それなりにやってくれそうな気がしないでもなかった。

4月中に夢を砕いてくれたのは、せめてもの優しさだったのだろうか。蓋を開ければ、キャリア最低の成績に終わった松井とデヘスス、あまりにお粗末な成績に最終的には放出されたジャクソン、トリプルA送りとなったバートンとクーズマノフと死屍累々たる有様。とうとう開幕戦に出ていた内野手はシーズン途中にはペニントンだけとなってしまった。スウィーニーはパワーの無さだけが目立ち、ココ・クリスプはやることがないからだろうか、ひたすら盗塁し続けた。おまけにシーズン途中で監督もクビになった。それだけではない。ピッチャーにしても、長期契約を結んだ途端に1年以上リハビリが必要な怪我をしたブレット・アンダーソン、同じくシーズンを棒に振ってしまった昨年の完全試合男ダラス・ブレイデン、相変わらず2ヶ月くらい怪我で休むクローザーのアンドリュー・ベイリー、中継ぎで8敗という前半戦最強の壊し屋っぷりを見せつけたブライアン・フエンテス、もう何の怪我か忘れたけどとにかく離脱した先発のタイソン・ロスなどなど、たぶん呪いとかの超自然的現象でいいんじゃないかと思うほどの惨状だ。

もちろん、悪いことばかりではない。ウィリンガムは前半こそひどい成績だったが、ただでさえバッターに不利なことで有名な広い球場をホームグランドにして、終わってみればキャリアハイの29ホームランだったのだから立派なものだ。これでサラリーが跳ね上がり再契約できなくなって他所のチームにかっ攫われることになる(2012年からはミネソタで長期契約となった)のを考えなければ、とても素晴らしい。そして怪我ばかりの兄リッキー・ウィークスと同じくずっと怪我に苦しんでいたジェマイル・ウィークスが華々しくデビューを飾り、そのまま好成績で年間を通した活躍した(その結果チーム在籍年数が最も長かったマーク・エリスが放出されてしまった…)のも明るい話題だ。もっとも、負け続けて起用されるようになった若手が増える中、この数年で最も期待されているクリス・カーターマイケル・テイラーが全くメジャーでは通用しないことも分かったのだが。まあ、他にもトリプルAで素晴らしい成績を叩き出したギレルモ・モスコソがメジャーでも十分活躍できることもわかり、それから遂に公開された映画『マネーボール』は批評家ウケもいい手堅い出来だった。

オークランドの迷走の原因といわれているのが、本拠地の移転問題が解決していないことだ。数十キロ離れたサンノゼにシスコシステムズから提供された土地があり、そこに球場を建設して移転する計画が持ち上がってからもう何年かになるが、2012年の1月まで決着がついていない。サンフランシスコ・ジャイアンツのフランチャイズでもあるので、その辺りの問題が解決していないせいだというが、どうやら今年結論が出るという噂である。そうなると、移転は2014年ということになり、その時点までに強いチームを作るという本当の再建モードになるわけだが、この冬の大胆なトレードをみるにつれ、どうやら本当に今月には移転問題の決着がつきそうな感じだ。

というわけで、2012年からのオークランド・アスレティックスは、今年と同じかそれ以下の期待しか出来そうもない。噂はあったが、本当にオールスターに選出された経験のあるピッチャーを全て放出してしまい、放出した選手もみんなまだ若かったが、それよりさらに若い選手ばかり揃えたところなど、むしろトリプルAやダブルAの試合の方が面白いんじゃないかと思わせるくらいだ。

といいつつ、でもそんなトレードで獲得したジャレッド・パーカーは実は次のダン・ヘイレンになるんじゃないか、トム・ミローンはダラス・ブレイデンあるいはもっと凄くてトム・グラヴィンみたいになっちゃうんじゃないか、などと妄想をたくましくしてしまうのが、ファンというものでもある。

Posted by on 1月 2, 2012 in Baseball

コメントを残す