をとこもすなる小説ベスト10(1)
yomoyomoもmhattaもすなる(略。あさましくもアマゾンのアフィリエイト付き。とりあえず前半。
最初に断っておくが、人間なにをいくら読んでもそこから何を学ぶというわけではない。よくあるレコード屋の宣伝文句をもじっていうなら、No book makes your life completeである。音楽で人生が完璧なものになるわけでもなく、いくら本を読んだところでダメな人間はダメなのだ。既婚者なのに家族中から人格的にクソだといわれる俺がいうのだから間違いない。だからトップ10リストなんて負け犬どもの夢の跡。そこんとこをよく斟酌して、以下のリストは軽快に読み飛ばしてほしい。
“橋のない川〈1〉 (新潮文庫)” (住井 すゑ)
作者の死去につき第8部まで刊行され未完。とはいえ、中途半端でガッカリなんてことはない。読み始めたら毎日夢中になって読み進んで、7部を読み終えた日に8巻が出たのでよく覚えている。毎朝、通勤で部落解放同盟の前を通るのだけれど、まだ誠太郎を見かけたことはない。
“死父 (現代の世界文学)” (柳瀬 尚紀, ドナルド・バーセルミ)
バーセルミの本はみんな好きで、“雪白姫” (ドナルド バーセルミ)も素晴らしいし白水社の新書でお値ごろなのだが、絶版みたいなのでこちらにする。これも絶版になったことがあるような気がするのだが、けっこうあちこちで見かけるからまだ手に入るみたいだ。翻訳も素晴らしく、バカバカしいのに物悲しい、死んでいるのに生きている父のお話し。
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“ミルダッドの書―灯台にして港” (小森 健太郎, ミハイル・ナイーミ)
ナイーミ唯一の英語で書かれた本。というわけで、これしか読んだことはないのだが、みんなが褒めてる“預言者 ポケット版” (カリール ジブラン, 佐久間 彪, Kahlil Gibran)より面白いのを探そうとしたという不純な動機で読み始めたのに、未だに覚えているくらい面白かった本。
“日陰者ジュード 上 (1) (中公文庫 ハ 10-1)” (トマス・ハーディ)
映画“日蔭のふたり” (アスミック)の原作。映画も悲惨な物語だったが、こちらはその後のもっと悲惨な続きまで描かれている。トマス・ハーディはこの作品を発表して、あまりの悲惨さにいろんな人から抗議されて、頭にきて以降は散文を出さなくなってしまったそうな。まあ、それくらい悲惨な話である。あ、でも読んだのは確か岩波から出た文庫と原書だったので、中公文庫のはみたことないかも。
ベケットの作品ならもっと他にもお勧めがあってしかるべきかもしれないが、なんとなくこれ。訳者がけなされているが、そういえば読んだのは誰の訳だったのか思い出せない。邦訳は今はそれぞれ分冊されてしまっている(元々そうだったのかも)「Molloy, Malone Dies, The Unnamable」がこの版みたいに一冊になって訳されたらそっちでもいいかも。このパターンはポール・オースターでもあったな。まあ、ケチっちゃケチな話ではある。とはいえ、個人的にマーフィーはベケットの中でもスラップスティック的に好きな作品で、というかベケットの面白さにはこの可笑しさは欠かせないような気がするのだが、もっとスノッブな鑑賞をしたければまあよそをあたった方がいいかもね。
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