をとこもすなる小説ベスト10(2)
確かヘンリー・ミラーだったと思うが、老後の楽しみのためにドストエフスキーの何かを読まずにとっておくことにしたという話があった。でもそれがドストエフスキーの何だったのかは思い出せない。
というわけでドストエフスキーを。
カラマーゾフの兄弟なら誰かがもう取り上げているだろうから、こっちを。実は最初の方だけ読んで何ヶ月か放置して、意を決してもう一度読み始めたら、夢中になって読んでしまった。
高校のとき、クラスでドストエフスキーを読んだことがあるのは他にもう一人しかいなくて、彼女は確かニューヨークで子供二人いるとか聞いたことがある。元気だろうか。丸顔でニキビ面で、率直であけすけに話すところが素晴らしいと思っていたのでニューヨークまで用事にかこつけて会いに行ったことがある。これを読んでいたら、俺も道理をわきまえないバカなガキからすっかりおっさんになってしまった事実を知ってもらいたい。
しかし、「クラスに二人しかいない」という程度なら、世間には下手すると数万人も同程度の人間がいるわけで、まさに平凡そのものなわけですよ。おそろしいですね。
ところで、悲しいことにフラン・オブライエンの「ドーキー古文書」はアマゾンでは見つからない。インターネットに接続するようになって最初に探したキーワードのひとつがこのフラン・オブライエンだった。あれからもう何年経ったのだろう。かみさんが、最近のあなたのルックスなら、大丈夫誰も振り向かないから、と言っていた。年月とそれが消尽したものの大きさは、まあよく考えたら昔からそれほど冴えていたわけでもないのでたいしたことはない。次。
図書館でアパッチ加山に勧められて読んだのがこれと“血みどろ臓物ハイスクール” だった。どちらも渡辺佐智江訳(すいません誤字でした修正しました)。彼女の訳書は“柘榴のスープ” も“ナイフの刃先で” も大好きなので、こうなったらもう俺ってばサッチーファンなんだ、でいいと思う。思うってなんなんだ。アッカーといえばこんなのもあって、個人的にも思い入れがある。
ああ、ヘンリー・ミラーを忘れていた。これもベケットと同じく三部作を推したいところなのだけれども、第一部のセクサスがそもそも絶版なので、こちらを選んでおいた。
この南回帰線は少しも悲しくない。北回帰線を読んだときはあんまりピンとこなかったが、これと薔薇色の十字架三部作、“マルーシの巨像 “は夢中になって読んだ。今なら北回帰線も面白く読めるのかな。ミラーの悟りきれないところ、なんというか、ヘンリー・ダーガーのようになりきれないでむしろ大沢啓二みたいになっているところはミラーのかわいげなのだが、そんなわけでミラーを不必要に聖人扱いしない人にだけ本作を勧める。
書いている間に“セシル・テイラーの世界” を購入。
“指輪物語 “ってセックスと経済が出てこないよな。というわけでファンタジーをひとつ。
“はてしない物語 (上) (岩波少年文庫 (501))” (ミヒャエル・エンデ, 上田 真而子, 佐藤 真理子, Michael Ende)
ミヒャエル・エンデが好きでシュタイナーとかいろいろ読んだけど、結局エンデより好きにはなれなかった。でも、シュタイナー学校でやってるオイリュトミーやったとき、あれはいつだったか、とにかく途中で昔の嫌なこととかあれやこれやがものすごいこみ上げてきて、ああ今日はこれ以上続けられないなあ、とブラームスを聞きながら教室の外で耐えに耐えた記憶がある。この本か“モモ “は息子にも読んでほしい。
あと一冊、どうしようかと悩んだけれど、ミラーにならってまだ読んでいないことにする。
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