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アレックス

息子の保育園の同級生に、アレックスという子がいた。太っちょで元気な、甘たれでやさしい子だった。かみさんにもよくなついていたし、息子とも仲良くしてくれていた。

次男が生まれて名前を考えていたとき、アレックスのことを思い出した。アレックスっていい名前だよな。王の名前だもん。しかもただの王じゃない。アレキサンダー大王は東欧からインドの手前までを版図とする大帝国を築き上げ、インドの手前で引き返したのが今でも謎といわれるくらいのとんでもない大王で、ずっと後世までその名を冠した都市アレクサンドリアはローマ帝国が燃やすまで巨大な図書館があったりしてずっと栄えていたし、家庭教師ときたらなんとアリストテレスだもん。

町山智浩の「ツォツィ」の映画評でずっと心に残っていた一言がある。

何の希望もないツォッツィはその赤ん坊に自分の本当の名前をつける。

 デイヴィッド。

 今はクズ同然の彼も、王の名を持って生まれてきたのだ。

こうして取り出してみると、本当になんでもないような言葉かもしれないが、これを読んだときから、なぜかずっと心に引っかかっていた。息子に王の名前をつけるって、どういうことなんだろう、とか。

アレックスも、日本人ばっかりの普通の小学校に進学したと思うから、きっと今頃は周囲の子たちと違うってことでいろいろ苦労しているんだろうな。でも、お前の名前は大王の名前だし、他にもアレックス・ラミレスとかアレックス・カブレラとかアレックス・ロドリゲスとか野球のスーパースターたちと同じ名前でもあるんだから、そんなのに負けないでがんばれといいたい。

だいたい、コスモポリタンって言葉もアレクサンダー大王時代に成立した概念だったはずだ。アレクサンダーの巨大な帝国が、当時、ヨーロッパと地中海沿岸地方と小アジア、西アジア、南アジアに至るまでの広い地域が突然ひとつの国となって交流が盛んになり、民族とか人種という小さな枠では収まりきらない新たな世界観を人間が手にする契機になったという話だったとはずだが、それを考えると、やっぱりまわりの連中とちょっとばかし違うなんてどうでもいいことは吹き飛ばして元気にやっていてくれたらいいなと切に思う。

Posted by on 6月 11, 2008 in Apple, Family, life, WordPress

Comments

  • K より:

    「ツォツィ」はこないだ観たがあんまり面白くなかった。メロドラマぽくって、どうも先が読める内容だったような。赤ん坊がいれば見方が変わるのかもしれんが。

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