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PiLのライブはよかったのですが

Python Image Libraryじゃない方のPiL、Public Image Ltdのライブを観てきました。予報では東京は暴風雨になっているはずでしたが、なんとか持ちこたえました。直前まで北京と上海で公演があったのは報じられていたものの、日本公演はそんなに話題になっておらず心配しましたが、客の入りはそんなに悪くなかったようです。まあ、マイブラみたいに立錐の余地もないというわけにもいきませんが。それと、前回はまだみんな本当にジョン・ライドンが観られるのかと半信半疑な顔で眺めていた部分もあったような気がしたのですが、今回はもっとこなれた感じの反応をする観客が多かったように思われました。そんな人たちが帰り道にみんな口々に今日のライブはよかったと話していたのでほっとしましたよ。いや、ぼくが親心を発揮してほっとしている意味は何もないんですが、前回公演でこれまでのPiLのイメージがガラリと覆ってしまったので、2009年から始まった今のPiLがキース・レヴィン抜きで演奏するようになってから一番だと思う身としては、たくさんの人にこれを受け入れてほしいという気持ちもあるのです。

今日の演奏は2011年8月と比べるとさらにタイトになっているようでした。そりゃこなしたステージの数が違いますからね。変なところで変な音が鳴るみたいなトラブルは全然ありません。しかし、会場の方がちょっと問題で、どうも少し離れたところに居た方が音響がいいらしく、喜び勇んで最前列に行くと、そこではあんまり音が聞こえなくなる(分離が悪くなる)という、困った音響設計になっていました。ひょっとしたらステージ上も音は聞こえにくかったのかもしれません。One Dropのような最近の曲は割とかっちりと構成された演奏をしようとしていたようですが、ギターがズレたまま進行したりしていました。その辺りは、構成とか無視して適当に叫ぶだけ(褒めてます)の曲の方が演奏しやすいみたいでしたし、正直なところThis is PiLからの曲はときどき少しちぐはぐな感じもしました。あと、ジョンは前回よりも喉の調子が悪いというか、手鼻をかんでいたくらいなのでちょっと風邪をひいていたようでした。

が。

大事なことなので一回しか言いませんが、PiLのライブはよかったです。どれくらいよかったかというと、すごくよかったです。

ただ、問題があるとすれば、それを上手に言い表す語彙がぼくにはないってことなんです。2011年の来日公演も観ているわけだし、どんな演奏になるのかはだいたい予想していた通りでした。だから今さら驚きはありません。よかろうと期待して、よかったってことです。今更ティーン時代のアイドルのステージでキャーキャーいうわけでもないし、かといって、アイリッシュのジョン・ライドンが旧宗主国の女王を侮辱してその国民には胎児のセリフを叫び散らすカソリックの道徳を押し付けることの意味を深読みしてセックス・ピストルズを再評価してロッキンオンの誌面に印刷された汚れを増やすユニバーサル小姑を真似たような感想を書き散らしたいわけでもないし、えーと、なんの話してんでしたっけ。とにかく、一度は体験しておいた方がいいと思うよ。

My Bloody Valentine @新木場Studio Coast

MBV

というわけでマイブラを観てきた。来日情報を見落としていて発売時にはチケットを手に入れられなかったのだが、どいつもこいつも汚い根性を丸出しにしてダフ屋化しているヤフオクで、利益をぜんぜん乗せていない人が1枚だけ出品しているのが見つかったので即決で購入できた。どうもありがとうございました。ダフ屋を儲けさせるのは悪徳行為に加担することになるので皆さんやめましょうね。クソくらえという資本主義のブタは除きますが。

人がいっぱい

会場に着いてみるともう人、人、人でとんでもないことになっていた。入場しても1階のフロアまでたどり着けない。ちょうど同じ会場で以前PiLのライブを観たけれど、あのときもバーカウンターもグッズコーナーもひどい行列で、まあどうせLサイズまでしか売ってないだろうからと無視したんだけど、それでもなんだかんだいって頑張ればいつでも最前列に出られる感じだったから、その倍は軽く居たんじゃなかろうか。

会場がそんな状態なので定刻の30分くらい遅れてライブは始まった。20年ぶりくらいのご対面。50過ぎの女性に失礼かもしれないが、20年前からボンクラどもを虜にしていたブッチャーさんは今でもやっぱり可愛いかった。ライブが始まる前と終わったときはニコニコしていたが、最初にケヴィン・シールズと一言ずつ「ハロー」としゃべったっきり、全くしゃべらない。踊らない。というか動かない。ギターを弾いているか、マイクの前でお腹の辺りで手を合わせて立っているだけ。まるで、この人たちはなんでこんな音楽を聴いているのか理解できないといわんばかりの態度で、轟音の中ギターの倍音に混じってたまに声が聞こえてくる。素晴らしい。

ライブが始まると、想像していた以上の轟音が鳴り響く。身体が痛くなりそうな音量だ。たぶん客席に向けたスピーカーが大音量になっていて、ステージ上はそこまで音量は大きくないのかもしれないが、とにかくこの音なら入り口で耳栓を配っているのも納得できる。曲目は、元々20年前のアルバム2枚と最近出た1枚、その他数枚のEP(って今の人は理解できるんだろうか)しかないし、誰かのカバー曲をやったり観客をあおってロックしたりするようなバンドじゃないので、だいたいいつも知っている曲だけが演奏される安心な構成。「Soon」みたいな代表的な曲も割と中盤でさらっと演奏していた。ああ、ここはギターで音を出してここはシーケンサーなんだ、など確認できるのがよかった。しかし、新曲を演奏しようとして失敗し、これ今まで4回しか演奏したことないからと言い訳し、また失敗して、じゃあ6回目いきますーと珍しくケヴィン・シールズがマイクに向けてしゃべって「new you」を自作自演でヘビーローテーションしたり、「I Only Said」の途中でシーケンサーが止まってしまって、雰囲気が大事な曲なのに気まずい沈黙が流れた後にしれっとまたやり直したり、「Honey Power」で肝心のギターがとんでもなく調子っぱずれだったり、さすがシューゲイザー、ファンサービス皆無なのが非常によかった。

極めつけは、というか、これを期待して観に行ったのだが、「You Made Me Realize」の間奏だ。マイブラ以降のいろんな人たちを観て、「あーあ、マイブラならここで観客をぶっ千切って置いてけぼりノイズ演奏20分だろうになあ、軟弱だなあ、がっかりだなあ」などとさみしい思いをした人たちにはお待ちかね、本家本元による圧巻の観客置いてけぼりパフォーマンスが炸裂した。ステージ上では4人がずっとほぼ同じ音を出し続けているのに、音量があまりにも凄まじいので倍音が反響しまくった結果、鳴ってもいない音楽が次々と聞こえてくるという有様。20分ほどひたすら観る者の鼓膜を痛めつけた後、またダンダンダンッとあの印象的なイントロに戻ったときには、あれそういえばこれ間奏だっけと観客の方が驚いてしまう始末。その長い長い間奏の間も、ブッチャーさんはほとんど動かず、ワンコードをずっと弾いていたのがドSな感じでよかった。これなら大雪の日に渋滞に捕まってタクシーで出産したというのも納得だ。

というわけで、体力を使い果たしてアンコールも無しで終わったMBVのライブだったわけだが、行って損はなかったし、また聴けてよかったと思う。パティ・スミスに続いて青春時代の決算シリーズ第2弾、というほどでもないが、まあそんな感じだ。

追記:あ、マイブラもカバー曲を演奏することはあるよ。WireのMap Refはすごくいいですね。

Wire – Nov 12, 2012

前座の人たちについては悪口しか思いつかない。ねえ、2012年にアルトーがどうこうとか器官なき身体とか仰々しく掲示して悦に入るのって、中二病じゃなきゃ何なの?Get over it!としか言いようがない。

ところで、Wire。今日は上のお兄ちゃんと一緒に観に行った。彼にとってはライブとやらを観るのはこれが初めて。初体験がWireとかまったくうらやましい限りだが、お父さんはたしかラモーンズが最初だったので、その点では負けてはいない。

で、Wireのライブなんだけど、素晴らしかった。一時は昔の曲はいっさいやらないとかいう変なポリシーでやってたそうだけど、今はそんなことなくて、2曲目にはAnother the letterが飛び出す始末ですよ。うちのお兄ちゃんはOutdoor Minerが好きなのでそれが聴きたかったみたいだけど、さすがにもうやらないみたい。コリンは目が相当に悪いらしく、マイクのすぐ脇にiPadが据え付けられて、そこに歌詞やらセットリストやらが表示されているらしかった。みんな髪の毛は残ってないし服装は黒のヨレヨレのひどい有様だったけど、演奏は期待以上にすごかった。Wireって、レコード会社との契約で食ってるんじゃなくて、マーチャンダイズも含めて自前でやってるらしく、チケットも3,500円とかなりお買い得、Tシャツなんかも2,000円しかしない。こんなのFugazi以来だ。そして演奏の方は、ええと、プライスレスっていえばいいんですか?この金貸し野郎。でも本当によかったよ。

Ode to Ide

井出さん、おはようございます。小生、貴方様のことについては全く何も存じ上げませんが、なんか音楽を聴けとかいってリスト作られちゃってる人だってことは認識しております。

そこで、貴方様とは縁もゆかりもない私めも、ここは一丁やってみるべと、貴方様が聴くべき音楽レコードを10個挙げさせて頂く次第であります。

黙って聴け!

その1:Half Japanese: Band That Would Be King

いきなりVHSかよ!といふなかれ。誰がCDだっていった?

その2:The Chameleons: This Never Ending Now

基本だから。これ聴いてない輩が何を言っても信じない方がいいよ。

その3:なし

あのね。こんなリストとか作られて堂々と公開されちゃって、今後はずっと世間に「ヤダあの人、こんな文化的砂漠みたいなリストをあてがわれてサブカルにもなれずに死にゆく定めの、っていうか単純に冴えない人?みたいな?」と後ろ指さされながら生きていくしかない貴方様が手にするべきものは上の2つ以外にはありません。ないのです。そう、誰も恐怖からは逃れられないのだ。わっはっは。お逃げなさい。お逃げなさい。逃亡者の街へ。

PiL ワールドツアー最終日

今日がPiLのワールドツアー最終日で、サマーソニックに出演した翌日に単独公演を予定している、と知ったのが昨日のこと。まずこのtweetで来日していることを知り、公式サイトを見たら単独公演もあるというので、今朝は6時から仕事して夕方までに全て終わらせ、馳せ参じることにしました。

PiLを聴きたい理由ですが、大前提として、ぼくはSex Pistolsでは一番DQNっぽくないジョン・ライドンが好きなのです。それをふまえた上で、さらに今、自分の人生にちょっとした転機が訪れており、それからPiLはこの世でほとんど唯一かもしれない、聴いても腹が立たずにちゃんと励まされる「元気を出して」ソングを演奏するからです。Riseという曲をご存知でしょうか。そうですか。へえ、よかったね。この曲には、なんというか、元気を出してソングにありがちな、泣いている美女をイケメンが歌いながら慰めるビデオクリップとか、キューンと鳴るギターとか、そういうのはぜんぜんありません。歌詞も、正しいかもしれないし、間違ってるかもしれない、と逡巡してばかりで、歌われる人の状況もあまりいいとはいえません。でも、唐突に、May the road rise with youとコーラスが入ります。日本語でうまく言い表すと、高村光太郎の道程みたいな感じでしょうか。まともな人間であれば、自分はいかに恩寵や無償の愛に値しないかはよーくわかっているので、こんな風にいきなり全肯定されてしまうと、急にヤクザに優しくされた情婦みたいにヨロッとなってしまいます。そして、そんな優しいジョンおじさんの歌は、今度はびっくりするようなストレートな物言いに変わります。「怒りはエネルギー、怒りとは何か、怒りとはエネルギー!」ああ、やっぱりジョンおじさんは優しい顔をしたヤクザだったんでしょうか。

この目で確かめるべく、新木場のスタジオ・コーストに足を運びました。

漁師の網みたいな背景に浮かぶロゴ

スタジオ・コーストは初めてでしたが、クラブです。クラブチッタとか、そんな感じのところとキャパは同じくらい。ドリンクカウンターとグッズコーナーは長蛇の列です。年齢層も高めなので、みんな金持ってんでしょうね。ライブは定刻に始まりました。ジョン・ライドンはもちろん、他のメンツはHappy?とかの頃からいるギタリスト、プロっぽいベースの人、The Pop GroupやSlits(亡くなったジョン・ライドンの義理の娘さんのバンドですね)のドラマーが登場。いきなり3弦の変な楽器で「This is not a love song」が演奏されます。PiLのライブですが、ぶっちゃけ似たような曲が多いのと、曲の構成があってないようなものなので、適当なところまで演奏したらいきなり違う曲をメドレーでつないできたりします。しかも「Death Disco」は白鳥の湖あり/なしの2パターンをそれぞれメインとメドレーとして演奏します。「Poptones」や「Albatros」、「Memories」など、これでもかと代表的な曲を挟み込むので、よく考えたらPiLって長いキャリアでこんなに定番ソングを生み出してきたんだなと驚かされます。で、肝心の演奏ですが。すごかったです。はい。正直、昨日サマソニに出たばっかりだし、ジョン・ライドンももういい歳なんだから、あんまり大きな期待はしていませんでした。が、始まってみればものすごい演奏です。

セットリスト

PiLといえば、タイトなリズムにカリカリしたギターが適当に絡んでいるところにジョン・ライドンが思いついたところで叫ぶように何か歌うというイメージ(うわ、これって皮肉?)ですが、ライブで演奏されるとこんなにすごいとはちょっと思い違いをしていました。しかも、音がいい。1曲目でステージ上のP.A.の音を調整したりしていましたが、音が大きすぎず小さすぎず、バランスも素晴らしく本当に聴きやすいのです。もちろん、ジョン・ライドンはどんなにしっとりした曲でも決してちょぼちょぼ歌い上げるような真似はせず、常に叫んでいます。その勢いのすごいこと。トドと見紛うばかりの体型に成り果てたのに、逆にコメディアンとして開眼したのか、変なアクションを交えながらもジョン・ライドンはジョン・ライドンでした。おじいちゃん、もうちょっと手抜きを覚えて!と思わず心配になるほどです。

演奏の方も、ジャー・ウーブルとかがいると、なんかまた格好つけて喧嘩でも始めちゃったりしたら、おじいちゃんたち困ったものですね、なんてケースも考えられるのですが、この人たちに限ってそういうこともなさそうなので安心して演奏に集中できます。っていうかロックっぽいってかDQNくさい真似とかで話題になるガキ臭いロックバンドってよくありますが、そういうの興味ないんでほんとやめてほしいです。だったらキリスト教圏の最大のタブーとか女王の統治のひとつのピークである記念すべき年に女王をバカにする曲を発表したりしてみんなに嫌われて挙げ句の果てにナイフで手を刺されてギターの演奏ができなくなってしまったジョン・ライドンおじさんの尻の毛でも賜って植毛したらいいと思います。

話が逸れました。ときどきシーケンサーなんかも組み合わせて、タイトなリズムを刻むドラムとベースがあまりにも心地よく、せっかく来たんだからよく見とけばいいんですが、それでも目をつぶって聴くときの気持ちよさの誘惑には何度も負けました。そんな感じで、個々の曲のことはもうあんまりよく覚えていません。そういえば確かジョン・ライドンのソロ名義で出た曲もいくつか入ってきましたね。いずれにせよもうずっとふらふら踊りっぱなしです。「Open Up」をバンド編成で演奏すると妙に格好よかったりして、ハウスって人力の方がずっといいのかもしれませんね。展開とか長さとかはかなり適当らしく、途中でシーケンサーの部分が消えたりするのもよかったです。ギターは、ちょっとやることや演奏がロックっぽすぎて引くこともありましたが、元ダムドらしいので仕方がないと我慢していたら、3弦ギターとか弾き始めるものだからやっぱりよかったです。途中、ジョン・ライドンが「ちょっとタバコ吸ってくるね」と休憩を挟み、アンコールで遂にRiseが始まりました。

感想ですが、レコード会社もなく、こんなにひっそり来日しているPiLの演奏がここまで凄いとは、全く予想だにしなかったことなので、ジョン・ライドンがいうことなら全て受け入れられる気になりました。っていうかジョン・ライドンってこんなにいい人なの?世界ツアー最終日ということで、バンドメンバーはもちろん、ローディーからマネージャー、さらにはサウンドエンジニアや照明まで紹介してステージに上げ、さらには「えー、自己紹介とかってー、ジョンってちょっとシャイだからー、え?やるの?ホント?じゃあ照明さん、ここにスポット当ててくれる?若く見えるように、お願いね」と驚きのトークを展開するんですよ。なんかね。「みなさん、一緒に歌って、ジョンのことちょっと手伝ってくださーい」とか、Riseの前にいうんです。誰が?ジョン・ライドンが。何が見える?永遠が。なんなのこれ?愛されキャラのジョン?マジすか。いやー、ありです。大ありです。もうジョン大好きです。いつまでも長生きしてください。子供の頃に煩った髄膜炎とその治療の影響で猫背になって、おまけに太ってしまったのでもうほとんど前屈みとしか言いようのないその姿を、やっぱり一度この目で見ておいて本当によかったと思います。サマソニの方はどうだったのか知りませんが、たぶんこういう設備の会場の方がよかったんでしょうね。

turntable.fm

turntable.fmというのは、ルームを作成し、手持ちの楽曲やMediaNetの楽曲から選んでインターネット経由でDJができるサービスだ。DJといっても、古き良き時代の、レコードという単一ないし複数の楽曲が収録された塩化ビニール製の円盤状のメディアを専用のプレーヤーに乗せて回転させることでスピーカーから音楽を流す担当者という意味で、スクラッチノイズを流しながらドレッドヘアでMen!とかYo!とかいってる面妖な人たちのことではない。

基本的にはとても面白いのだけれど、現実世界と同じで誰かが来てくれないと何もできないので、往々にしてこんなことになってしまう。

サンプルA

完全に煮詰まったので、戸川純を聴く。

Gary Peacock ‘Vignette’

キースさんの歌謡はこの曲が白眉っすよ。

View From A Hill

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届いた!

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明けましておめでとうございます

人間の価値は、その人が何に反抗しているかでかなりの部分が決まるそうです。ソースは俺。